少し前にフォークのリコールをしてたビアンキだけど、先日のレースでもゴール直前にコラムが折れたらしく。

素人目からしたらTIME以外のメーカーがカーボンコラムにそう特殊な積層使ってるとも思えないし、他メーカーでも起こりうる問題というか、むしろトレックこそ元祖フォーク折れ企業っぽい(俺が自転車はじめる前の時代らしいが)。

というわけで、俺もフォークのコラムにダメージがないかチェックしてみようかと思ったんだが、
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いやこれは

ステム外すまでもなく分かる。

あかんだろうって。
コラムの裏側がこんな感じ。
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写真ではうまく撮れないけど、クラックというわけではない。ただし凹んでいてステムのクランプ部分の割りの痕がついちゃってる。

フォークの前側にも痕がある。
Emonda fork damage
こんなの別に気にしないんだけど、ただビアンキがフォークをリコールしていたとき、僅かな傷跡でも危険だからさっさと使用をやめるように訴えていたのも事実。



そのときの参考写真。
kk5Hqi1P9V
この基準だと俺のフォークもアウトでは。


原因は複数考えられる。トルク過多、ステムの形状、エキスパンダーなど。

このうちトルクに関しては基本的にトルクレンチを使って5Nm前後で締めていたので問題はないはず。まぁ4Nmに落としてもよかったかもだけど。

ステムはTNIのヘリウム(90mm)。
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この値段でこの重量はすごすぎるし、実際にエモンダ含めた多くのカーボンフォークに使われてそうだけど、恐らく問題にはなってないだろう。TNIだから日本限定とはいえ、結構売れているステムだと思う。

だけどこのクランプ部分との相性がよくないのか。
TNIヘリウム
ステム前側も徹底的に肉抜きされていて大きな空洞になってるし、実際にこの部分の痕がコラムには残ってる。
TNIヘリウム
もう一つ考えられるのはエキスパンダーが悪さしてるってこと。

エキスパンダーを装着すると原理的に内部からコラムが押されるんだけど、そのときはコラムは楕円状に0.1mmほど変形するらしい。そうなると真円を期待してるクランプ部分とうまく噛み合わないのかも?

ともあれ、手っ取り早いのはステムの変更だろう。

軽さと安全性はトレードオフではあるが、実際全ての軽量ステムが肉抜きされている訳ではない。例えばドイツの変態パーツメーカーの一角であるMCFKのステム。
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なんとなく安心できそうな形状というか。これなら基本的に真円状態のままコラムを均一に締められそう。

今はどうか知らないが、トレックは昔フォーク折れの事故を複数起こしていたメーカーらしく、10年前ぐらいの古い資料を見ると、実はステムの使用には結構厳しい制限を掛けていた様子が伺える。
ダウンロード
当時は「ボントレガー以外のステム使ったら保証は無効」と明確に規定した他、ステムの取り付けの委細についても定めている。

まず、ステム上とステム下にはスペーサーを挟む必要がある。
ダウンロード
まぁこれは常識的なものだし(ステム上と違ってステム下はいまだに理由が分からんが)、むしろ他メーカーみたいに最低5mmなどの制限がないあたりは緩い方である。

ただ、裏側に肉抜き穴があるステムは厳禁としている。
ステム肉抜き禁止
均等に負荷が掛からないからってのが理由らしいが、これは多くのステムがこの時点でアウトとなる厳しい基準である。

また、ステム前側の肉抜き穴も極端に大きいものは不可としてる。
BT10 ca_steerer_stem 0701PN pdf
というか明確に上端や下端から穴までは最低10mmを要求してるので、ステムのスタックハイトが標準値の40mmだとしたら、穴は半径1cmまでしか許容されないことになる。

なお、エキスパンダーの長さについては何も言及してないのは意外だった。理論的には、あれはステムのスタックハイト以上でないと締め付けを支えられないはずなんだが。


ともあれだ。

後日、販売店なりに持ち込んで(駄目だと思うが)保証が効くならフォーク交換するとして、現状は破損がこれ以上侵攻しないためにも、ステムを交換して、トレックのこの基準を満たす物に変えることにした。

で、安直にBontrager XXX Blendr Stem。
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流石にボントレガーのステム使っても駄目だったら無償交換だろう。

理想はXXXのIntegratedなのだが、リーチ93mmと現状から28mmも伸びるので厳しい(しかも丸ハンからコンパクトなので実質もっと伸びる)。あと地味に幅が400スタートなのも嫌い。値段も論外。

コラムクランプ部分の前側の肉抜き穴は小さい…どころか一切設けていない。
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(写真だと水抜き穴みたいなのが見えるかもだが、実際はただの影や模様である)。

前側から覗くと見事に塞がっている。
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またフォークとのクランプ部分は斜めにスリットが入ってる。これは確か負荷を逃がす効果があるのかも。
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ザラザラで摩擦係数でもあげるつもりだろうか、ステムの内側はすっげえヤスった跡がある。
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その癖変なところにバリは残っていたり。
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このステム、メーカーやショップはとにかくカーボン製の軽量ステムであることを謳い文句にしてるのだが、実際の造りを見るとすごく質実剛健な感じである。

実際、90mmで116gと最早ヘリウムのあとでは軽いとは思えない。
Bontrager XXX Blendr Stem
こうして安全性と引き換えにステム単体で見ると+30g程度の増加となってしまった。

ただし「ステム単体では」の話である。

というのはボントレガーはBlendrと呼ばれる自社独自のサイコンやライトのエコシステムを構築しており、このステムには上下どちらかにガーミンかライトを装着できるアクセサリー(モノベース)及びその2つのマウントが付属してる。

モノベースとガーミンマウントだと23g。
Blendr Mono Base
これは比較的軽い数値だと言える。なお内訳はガーミンのHighマウントが8.6g、ボルトが4.7g、モノベースが9.7gである。
サイコンマウントは初期はSRAMの樹脂製のを使っていた…
2018-10-10 22.22.15
が、これは使い物にならず実走数回で捨てたゴミの黒歴史なので無視するとして、

例えば超軽量(だがすぐ折れる)と評判のローターのサイコンマウントが34g。
ROTOR GARMIN MOUNT
より実用的なレックマウントの片手ショートタイプ(Type12)が43g。
RecMount Type12
つまりステム単体では+30gだったけど、サイコンマウントを含めて考えると、例えばレックマウントであれば+10g程度の増加に留まっている訳だ。

また、下部にライトをつけたい場合のGoProマウントが若干+4.8g。
Blendr Mono Base
ただ少しややこしいのは、Blendrの場合、サイコンとライトの両方をつけたい場合、上下どちらか(モノベース)ではなく上下にGoProのメス規格があるベース(デュオベース)を使う必要があり、それはXXXステムに同梱されていない。恐らくモノベースより5g以上は重いかと。

レックマウント(Type9)にGoProアダプター(GP-K400A)をつけたら52gと約9gの増加。
RecMount Type9 + GoPro adapter
なお超軽量だったはずのROTORに至っては大幅に重くなって50gとレックマウントと大差がなくなってしまう。
ROTOR + GoPro

このようにBlendrマウントが樹脂製で比較的軽い事もあり、ステム自体の重量増をだいぶ相殺できることになる。

ただ、幾らトータルで軽いと言ってもBlendrのデュオベースだと、必ずサイコンかライトをステム上に装着しないといけないので、見た目が損なわれてしまうという点では残念ではある。

これをレックマウントのGP-GM-AやGP-WGM-S55の下にGoProアダプター(GP-K400A)をつけられるように魔改造したら回避できる可能性はある。
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レックマウント側はともかく、Blendr側はBontrager Ion Pro RTが公称192gなので、モノベースのGoProのメス部分に200gぐらいの耐荷重は想定されていると思われる。Edge820(68g)とVOLT400(120g)ですら188gなので、十分な数値ではある。


御託はこれぐらいにして、実際に装着してみる。

まず、ボルトがハンドル側もステム側もM4で回せるのは非常に良い。TNI Helium6だと素の状態では小さなトルクスで、それを六角に交換してもM3だった。
XXX
また、ステム自体が少し太めなので、そこに安心感がある。
Bontrager XXX Blendr Stem
余談だが、バーテープが均等に巻かれてないのは、当時は片側に例のスラムのサイコンマウントをシムをずらして装着していたからである。

あとハンドルクランプの隙間をBlendrのクリップ状のベースで埋めるんだけど、これがなんか好き。
Bontrager XXX Blendr Stem
なんか既視感あるなと思ったら、LOOK695/795のエアロステムのクランプ全体がクリップ状になってるやつ。あれ割れるからってリコールされたよな。


とりあえず当分はこのままで暫く乗ることにする。

フォークについては、時間が出来たときに購入店に持ち込みたいのだが、もし破損扱いで保証も効かず買い直しになったとしても、10万程度と想定される費用はさておき、それはそれで悪くないと思えてしまう事情がある。

というのは…実はエモンダは2019年からフロントホース内装型にマイナーチェンジされたので、フォークの買い直しは実はアップグレードでもあるのだ。
EmondaSLR7Disc_20_28490_A_Alt2 (1)
たかがフォーク肩~キャリパーまで半端に内装されるからと言って何が変わるんだ感もあるが、隠せるに越したことはない。
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