ディスクロードはまだ過渡期にあると思うのだが、全体が未熟だからこそ光る一品も既にあって、フレームで言えばGiantのプロペルとBMCのteammachine、コンポーネントで言えばST-R9170/ST-R8070は、ディスクブレーキの機材としては突出してる印象がある。

でもホイールはというと…

正直、2017年の時点では、完組みのディスクブレーキのホイールで安心して買えそうな物はそれほど数多くなさそうに感じた。もちろん俺のカバレッジは狭いのでそれほど詳しく追ってないのもあるが、2018年1月現在でもあまり状況は変わってなさそうに思える。

でも全く良いものがないのかというとそうでもなく、例えばジャイアントは安くていいし、ROVAL、BONTRAGER、ZIPPも物自体は良さそうである。むしろ性能より特定フレームメーカーの影が濃いのがネック。

それに、完組みが駄目なら手組みで探すって手もある。

というわけでENVE SES 3.4 Discにした。

手組みの利点と言うとコスパがまず上がるが、ENVEはもう値段については触れたくないレベルで、国内でロヴァールやボントレガーを定価で買うのと大差ない金額。ただ海外でも定価売りに近い状況なので「おま国」感の薄さだけは特筆に値する。

前後で公称1458gのところ実測は666+791=1457g。見事な品質管理だと思う。


ただ、これは決して軽い数値ではなく、例えばリムハイト50mmのボラワンクリンチャー(公称1485g)と大差ないし、むしろENVEはリムテープが約40g必要だからトータルではほぼ1500g。重量増の理由はハブやスポークにもあるんだろうけどね。

どうでもいいが、検品者の名前が書かれていたカードには1470gとある…。恐らくカードやハブエンドのキャップがついたままで測定してるんだろうけど、それで検品通るのか?1470g
ディスクの場合はハブをDT Swissにすると軽くなるものの某FFWDのイメージがあるのでパス。代わりに選んだクリキンは、Pewterが無くなったので妥協で選んだMatte Slateは実物で光が当たると青みが強い。個人的には嬉しい誤算だが、紫を期待した人は要注意か。
Chris King R45 Centerrock
世間ではつい最近15C(内幅15mm)から17C(内幅17mm)に移行したばっかだが、このSES3.4は内幅21mmと更にワイド。このリム幅でもENVE側は空力的に最適化するなら25Cがいいよと主張してる。ETRTO度外視だが、ビードフックがあるので多分平気だろう。
4 disc rim profile
外幅27.5mmのリム幅は実物だと惚れ惚れするほど広い。20mmのR-SYSの約1.5倍。この2つのリム重量がほぼ同じだと言われてもなかなか信じ難いものがある。
ENVE SES 3.4 vs R-SYS
ただ、これより広いリムも普通にあって、ROVAL CLXや9100のチューブラーは外幅28mm以上だし、SES 4.5 ARは貫禄の30mm越え。もはや17Cがナロー、21Cがワイド、24Cがスーパーワイドという時代なんだろう(昔は15Cでワイドリムだったらしいし)。

リム外面はそこまで綺麗じゃないというか、化粧カーボンなんてとんでもないって感じ。
04
今のMAVICのカーボンリムは同じアメアスポーツ傘下だからってENVEが作ってるみたいな噂有るけど、この素っ気なさ、どう見ても別じゃないの。それともENVEに化粧カーボン(cosmetic carbon)をつけたものがCosmic Carbonというのか。

リム内面にもニップルホールをくり抜いたときの繊維のバリみたいなものが余裕で残ってる。

というか全体的な仕上げはすげーテキトーで汚い。全体的にリムテープ前提なのかろくにヤスってなさそうだし、ここのバルーン回収用の穴の蓋っぽい箇所は、指で触るとゴツゴツしていて、これではベロプラグは無理っぽいぞ。

あと、チューブレスレディを謳ってるものの、どうもハンプがない気がしてならない。箇所によっては指で触ると1mm未満の微かな段差がある感触もするが…意図したものなのか精度の悪さなのかは不明。チューブレスを使いたければMAVIC USTってことか。

で、こんな部分的には中華以下のホイールの何が凄いのかというと、このリム幅とハイトで公称重量が400g切ってること。内径17mmハイト30mmのレーゼロカーボンと同程度で、クリンチャーにしては軽い。というか、リムブレーキ版のSES 3.4チューブラーより軽い。

SES 2.2 キャリパー クリンチャー 410g (25mm) 410g (25mm)
SES 2.2 キャリパー チューブラー 281g (25mm) 281g (25mm)
SES 3.4 キャリパー クリンチャー 432g (38mm) 439g (42mm)
SES 3.4 キャリパー チューブラー 402g (38mm) 409g (42mm)
SES 3.4 ディスク クリンチャー 390g (38mm) 397g (42mm)

この同じブランド・同じリム幅・同じリムハイトという条件下で「クリンチャーがチューブラーより軽い」というのはもはや誤植を疑うレベル。是非とも実測はしてみたかったが、スルーアクスル対応の振れ取り台すらもってない俺にバラすのは無理。

そのリムの軽さを以ってしてもホイール全体の重量でリムブレーキ版に逆転される理由は、フロント側に4本多いだけのスポークではなく、ハブにもあるのは自明。DT Swissはリムブレーキが前126g/後232g(公称)、ディスクは前122g/後215~226g(公称)だけど、クリキンはだいぶ重いっぽい。

ともあれ、なんだかんだいってENVEは昔からリムがブレーキ熱に弱かったらしく海外サイトを見ると破損報告が多い。これは逆説的に言うと、ディスクになればその楔から解放されて軽さのみを享受できることではないか。そんな風に敢えて単純に考えてみた。

もちろん不安がない訳でもなく、例えば急ブレーキを掛けまくったらニップルの部分が剥がれ落ちるかもみたいな懸念はあるのだが、リムに関しては多少の保証も効くわけだから、とにかくガンガン使い倒してみようと思う。

ホイール全体の精度については、年に800本組むビルダーの方に検品してもらったところ揚げ足取りをしても90点の出来らしいので心配してないが、センターずれが0.7~1mm程度あったので一応は直してもらった。某大阪の店だと紙一枚(0.1mm?)ずれていてもNGらしいけど。


ただ、乗れる日は見えてこない。フレームセットが手元に届いてからもクランクの問題が出て来るし、クロモリだって組むのに1.5年要した訳でノウハウの少ないディスクなら余計に長期化する可能性がある。

今のところはヒノキ花粉が落ち着く頃に乗れたらいいって感じに考えているが、3.4で走りもしないうちに、リム重量が350g切ったENVE SES 2.2 Discが出てきたりなんかしたら少し悔しい。


追記
クリスキングのセンターロックハブは、リアだけロックリングはSM-HB20を使わないといけないのが、これはSM-RT99の付属品であるY8K198010よりほんの少しだけ重くなっててる。
Y8K198010
まぁ2g未満の違いなんだけど。
SM-HB20
あと更に細かいことを言うと、シマノのSM-HB20相当のものはPHB355という型番でクリスキングからも出ている。勘違いで両方とも買ってしまったんだけどな!
SM-HB20
微妙に重量が異なるのは、同じものをクリスキング側で塗装を剥離した上でアルマイト処理してるのか、それとも同じ寸法で作っているのかは不明。

通常のセンターロックリング(Y8K198010)はスプロケット工具で締めて、SM-HB20/PHB355はスレッドBBの工具で締めるという違いがあるのだが、クリスキングのR45Dはリアハブを分解して中にいれる仕組みなので、どっちにしろ工具は使わない。

あとENVE付属のリムテープは20gと結構重い。ここはもっと薄いのにしてもいいかなーと。
ENVEリムテープ
このテープ、幅22mmと、21Cのリムには一見丁度いいように思えるのだが、リムベッドやハンプなどもあるためか、微妙に足りないと感じる。チューブレスの場合は25mmが推奨されているのだが、チューブドの場合も24~25mmはあってもいいのでは。